これほど聴くものの心を浮き立たせてくれる演奏も、そうあるものではない。浦山純子さんのショパンとラフマニノフのピアノ協奏曲である。ピアノを鳴らし切るように重厚な低音から、満天の星が降り注ぐように煌びやかな高音まで、その存在感は圧倒的、また玲瓏な音色、温もりのある風趣、くぐもった感触など色とりどりの響きが混然一体となって見事に調和し、グラデーションのように移ろっていく様は鮮やかとしか言いようがない。かくて目眩むような音楽の愉悦が生まれた。いつも傍らにおいてじっくりと愛聴したいアルバムの誕生である。
「CONCERTOS コンチェルト」
ショパン
ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
1.第1楽章 アレグロ・マエストーソ
2.第2楽章 ロマンツェ:ラルゲット
3.第3楽章 ロンド:ヴィヴァーチェ

ラフマニノフ
ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
4.第1楽章 モデラート
5.第2楽章 アダージョ・ソステヌート
6.第3楽章 アレグロ・スケルツァンド

山下一史[指揮]
仙台フィルハーモニー管弦楽団